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国税庁、富裕層に対する所得税調査を発表

税務調査

国税庁による富裕層への税務調査

国税庁は、2017事務年度(2018年6月までの1年間)の富裕層に対する所得税調査を公表しています。

公表によりますと、前事務年度比24.6%増の5,219件の富裕層に対する実地調査が実施し、同51.9%増の申告漏れ所得金額670億円を把握しました。

追徴税額は1.9倍へ

調査件数の約82%にあたる4,269件(前年対比25.3%増)から何らかの非違をみつけ、加算税を含め177億円(前年対比39.4%増)を追徴し、1件あたりの申告漏れ所得金額は1,283万円(前年対比21.7%増)、追徴税額339万円(前年対比11.5%増)となり、追徴税額は所得税全体の実地調査(特別・一般)1件あたり178万円と比べて約1.9倍にのぼりました。

海外投資にも注目

国税当局では富裕層の海外投資等にも注目しており、同期間中に海外投資を行っていた862件(前年対比61.7%増加)に対して調査を実施しています。

それによると約83%にあたる713件(前年対比49.2%増加)から269億円(前年対比96.4%増)の申告漏れ所得金額を把握、71億円(前年対比73.2%増)追徴となり、1件あたりの申告漏れ所得金額は3,119万円(前年対比21.1%増)にのぼりました。

いずれも前年比で増加している点に注目が集まります。

仮想通貨にも税務調査の目が

調査事例を具体的に見てみると、国内外の仮想通貨取引に係る事案があります。

調査対象者Xは、話題の仮想通貨の取引による利益について自主的に修正申告書を提出しましたが、部内資料等から修正申告書の内容を大きく上回る利益を得ていることが想定されました。

調査の結果、Xは多数の仮想通貨取引所に本人及び妻名義の取引口座を開設し、自身で開発した仮想通貨の自動売買プログラムを使用して多額の利益を得ていたと把握されたようです。

Xは、インターネット情報で、仮想通貨取引の利益は申告する必要があることを知り、本人名義のうち、一部の仮想通貨取引の利益は修正申告しましたが、妻名義などで行った仮想通貨取引による利益は修正申告書に含めていなかったことを認めました。

その結果、Aに対して、所得税1年分の申告漏れ所得金額約5,000万円について、重加算税を含む追徴税額は約2,400万円がにものぼったようです。

海外送金、海外取引にも注目している

国税庁では、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約に基づく自動情報交換資料などを活用して、富裕層に対する海外取引・海外資産関連収入の的確な把握及び積極的な調査に取り組んでいます。

上記の事例のようにならないように、富裕層の方はご留意くださいますようお願いします。

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